転勤妻のキャリア構築術。給与交渉のやり方と、カメレオン型キャリアについて。

転勤妻のキャリア 転妻
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転勤妻のキャリアは悩ましいもの。私は夫と結婚するにあたって前職を辞め、今の会社に入りました。転勤があるから長くは勤められないだろう。産休・育休まで在籍できたらラッキーくらいの、軽い気持ちで入社したのに、在宅勤務が許され続投。

そんな転妻正社員が、入社10周年を迎えた節目の年に勝負に出ました。収入のUP交渉です。結果的に月給3万円UPとなりました。入社時の月給と比べると、13万円UPです。2度の育休を挟んだこと、中小企業の昇給率を考えると頑張っている方だと言えます。定期昇給がない会社なので上がらない時は1円も上がりません。育休や時短だった5年間は昇給ストップしていました。

こちらでは中小企業における給与交渉のやり方と、転勤妻のキャリア構築について、私なりの考えを記しています。帯同しながらの仕事、フルリモート勤務、マミートラックを乗り越え、築いてきたキャリア。資格職ではない事務系会社員のお話になります。

この記事の内容。

・中小企業における昇給と、給与交渉。
・給与交渉するまでにやったこと。
・キャリアの伸ばし方。カメレオン型キャリアとは?

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資格無し、こだわり無しのオフィス系会社員。

私について。
・現職が3社目。いずれも正社員。(専業主婦5ヶ月)
・転職時、30代前半、新婚。
・業界、職種ともに未経験。
・所有資格は運転免許、基本情報処理など(簿記2級を育休中に取得)。
・やりたい仕事よりもやれる仕事を選ぶタイプ。

看護師、介護士のような資格職ではなく、オフィスで働く会社員です。現職に応募した時、業界未経験、すでに30代、新婚、転勤族の妻という、事務正社員としては雇われにくい経歴でしたが内定がもらえました。他に良い応募者がいなかったのか、私の経歴が欲しい人材像とマッチしていたのか、応募から内定までスムーズに決まりました。

夫に転勤があるかないか、面接で聞かれたのですが
「100%転勤がない仕事ではありません」
という言い方で切り抜けました。嘘はついていません。詳しくは下記参照。

【実録】転勤族の妻、在宅勤務になるまでの軌跡。

最初は一般事務として入社しましたが、経験を活かした方向にシフトチェンジし、今ではその職種としては社内で唯一の専任スタッフです。

キャリアの考え方。カメレオン型キャリアについて。

やり方

突然ですが、なかなか恋愛ができない人と、どんな環境にいても常に恋している人がいませんか?前者は相手にこだわりがあるがゆえに簡単に人を好きにならないし、交際に至らないタイプ。とりあえず付き合ってみるということができない人。後者は置かれている環境の中で好きな人を見つけるので、常に恋人がいる人。どちらが良い悪いではなく、性格や趣向の違いです。

キャリアにおいても似たようなことが言えます。職種や業務内容にこだわりがあって、こんな仕事がしたい、こんな職種じゃないと働きたくないという人と、職種や内容は問わない。やりたい仕事よりも、自分がやれる仕事を選んでする人がいる。

私は仕事においては後者です。職種や内容にはこだわりがなく、目の前に来た仕事を粛々と片付けていたら、それがキャリアになったタイプ。

新卒時代は内定を出してくれた会社に入っただけで、その会社の業務や職種に憧れがあったわけではありません。就職氷河期の末期だったので選べませんでした。1度目の転職では前職と同じ職種を選び、2度目の転職では「子育てと両立できる」という面を重視して、今の会社を選びました。前職とは違う業界です。入社以来ずっと会社に求められるままに仕事をしたら、気づいたら一定のポジションを得ていました。

「自分がこの職場で求められていることは何か?」を考え、そこに合わせていくという、カメレオンのようなキャリアの構築方法です。

看護師になりたい、自動車に関わる仕事がしたい、といった明確な目標がある人は素晴らしいです。私はモラトリアム人間なのか、学生時代にやりたい仕事を見つけることができませんでした。大人になってもそれは変わらず。今も、一体自分は何がしたいのか?は常に問うています。それで副業をしがち。

にもく
にもく

「これがやりたい」がないまま大人に…。

定期昇給がない会社での給与交渉とは?なかなか昇給しない。

さて、わが社は定期昇給が無い中小企業です。入社した頃は50名ほどの会社で、のんびりした会社でした。今では300名ほどの規模になり、拠点数も増えました。徐々にではありますが組織改革やルールの整備がされています。

定期昇給は無く、上層部のさじ加減により決まります。2~3年ごとにUPすることが多いようですが、人や立場によってバラバラです。明確に昇給するのは特定の資格を取得した時と、役職が上がった時だけ。役職につくための試験はありません。役職も上の人のさじ加減です。

冒頭にも書いた通り、産休・育休を繰り返している期間、私は昇給しませんでした。これまで昇給したのは3回。
1.職種変更したとき。
2.2度目の育休復帰から、2年経過したとき。
3.2度目の昇給から1カ月後。
この時点で入社時の月給+10万になりました。

今年は入社してちょうど10年。子どもたちも育ってきたのでそろそろ仕事に力を入れたい。「このままでいいのか?」という疑問が沸き、次のステージにステップアップしたいと強く思うようになりました。

次はいよいよ交渉の具体的なやり方です。かなり細かいです。

給与交渉するまでにやったこと。転職エージェントへの登録と根回しが大事。

具体的にやったこと
  • 1.交渉する時期と、ゴールを決める。
  • 2.交渉材料となる実績を作る。
  • 3.転職エージェントに登録し、自分の価値を知る。
  • 4.面談に向けての準備。面談シートは詳細に。
  • 5.面談前の根回し。
  • 6.面談日。簡潔に訴える。
  • 7.人事部長への連絡で、念押し。

1.交渉する時期と、ゴールを決める。
夏と冬に面談があります。年明けに、交渉は夏の面談でする!と時期を定めました。そしてどうなれば満足なのか?自分の求める姿を考えました。

・ポジション(役職)が欲しいのか?
・別の仕事がしたいのか?
・収入UPしたいのか?

最初は仕事内容とか、人間関係とか、いろんなモヤモヤがありました。でもよくよく考えたらすべてはお金で解決する。「お金があれば我慢できるぞ」ということで給与UPに狙いを定めました。

目的設定はとても重要です。なんのために交渉するのか、ブレてはダメ。

2.交渉材料となる実績を作る。

担当している通常業務をやりつつ、並行してイレギュラーな業務も担当しました。約半年間の実績です。

・新システムの導入
サーバーのリプレースに合わせて、弊社はある仕組みを全社導入することにしました。導入担当として、業者折衝・導入計画の策定・社内への展開・各拠点をめぐっての導入サポートを行いました。

・M&A対応
異業種のM&Aで、システム統合を担当しました。先方社長とうちのトップとの間に入り、聞き取り・マニュアルの策定・業務フロー見直し・運用まで。今も遂行中です。先方社長の機嫌をそこねずに遂行するので、難易度が高いです。

・プロジェクトに参加
人材開発プロジェクトへの参加要請があったので、4月入社の新人さん向けに社内ポータルサイトの改修を実施しました。月一回の定例ミーティングに参加し、教育体制の整備を策定しています。社外の教育ツールも検討・導入しました。

3.転職エージェントに登録し、自分の価値を知る。

転職エージェントに登録し、オンライン面談を受け、履歴書と職務経歴書の添削を受けました。そして求人の紹介もしてもらいました。転職も視野に入れ、現在の転職市場のリサーチと、私の価値を知るためです。そして職務経歴書を作成することで、現職10年間の実績を洗い出す目的もありました。

転職エージェントに登録することで得たこと。
・転職市場の動向、求人状況。
・自分の市場価値。
・紹介された求人から、求めていい年収レベル。
・経歴の洗い出しと考察。

登録したエージェント。
doda

4.面談に向けての準備。面談シートは詳細に。

どこの会社でもあるかと思いますが、うちでは面談前に面談シートを作成することになっています。前期の振り返りや次期の目標などを書きます。ここ数年は当たり障りなく書いていました。会社への不平は書かず、いい感じに書いていたわけです。今回は満足と不満を織り交ぜて書きました。
面談シート作成には1日以上かけました。最初は語気が強かったのを、日を追うごとにまろやかにしていき、上司が見ても不快にならないレベルにしました。怒りのままに書かないことがポイントです。

将来このようにしていきたいから、こうして欲しい(給与UPして欲しい)という書き方にしました。

5.面談前の根回し。

上司と面談する前に、ナンバー2に連絡し、今のままでは不満であることを訴えました。
・給与が不満だ。
・解消されないなら身の振りを考える。
と簡潔に書いて送りました。面談前に事前にトップの耳に入れてもらうことが目的です。

私はナンバー2と絡む仕事をしているので実行できましたが、そこまで上層部とつながりがない場合は、自分より権限がある人、上層部に近い人に伝えると良いと思います。

6. 面談日。簡潔に訴える。

私の面談はトップが担当です。面談シートをもとに話をしました。
・今の給与には満足していない。
・実績に見合った給与にならない場合、身の振り方を考える。
ナンバー2に言ったことと同じことです。同時に、次期の目標も前向きな言い方で伝えます。

大事なことは「給与が上がらないなら、この仕事はしたくない」ではなく、「給与をあげてくれさえすれば、期待されている仕事はすべてやる」と訴えること。仕事が不満なのではなく、給与額が不満である点に絞りました。

7.人事部長への連絡で、念押し。

面談の数日後、今度は人事部長にも連絡しました。トップやナンバー2には言えなかったことも伝えます。
・給与UPが望めない場合は辞める。
・すでに就職エージェントに登録済みである。
実際に転職に向けた具体的な行動をしていることを伝えました。ここは勝負に出ました。「お前なんかいらない」と言われればそれまでです。

人事部長に対しては給与だけでなく、仕事面や人間関係の不満も伝えました。トップとナンバー2は経営側ですが、人事部長は私と同じ雇われです。だから言いやすい。その不満をすべて飲みこむための給与交渉である、という点を強調しました。

人事部長からは具体的にいくら欲しいのか?と聞かれたので希望年収を伝えました。この時「エージェントから年収○○万円~××万円くらいの求人を紹介される。リモート求人が増えているので夫が転勤族であることは問題になっていない」とも言いました。

完全燃焼しました。私はこれを「昇給夏の陣」と呼んでいます。

にもく
にもく

戦いは終わった。後は結果を待つのみ。

給与交渉、まとめ

・給与交渉は決戦日を決め、その日に向かって準備をしよう!
・根回しは大事!

給与交渉の結果はいかに?10日後に反映。

お金

戦いの後、10日ほどして給料日がありました。月給3万円UPしていました。さらに賞与も連動して上がりました。来年度は希望年収に届きそうです。交渉してからすぐに結果が出る。この対応の早さは中小企業の良いところでもあります。

もし交渉に失敗していたら?

「うちではあなたにそこまでの給与はあげられない」と言われていたら、転職も視野に入れていました。しかしながら、わが家は夫が海外に単身赴任中です。そして来年は世間でよく言われている「小1の壁」「小4の壁」が同時に来ます。今の会社で希望の年収をもらいながら働けるならそれに越したことはありません。

給与UP後の話。今後のキャリアについて。

給与額を見た後は分かりやすくやる気が出ました。超面倒な依頼もにこやかに受けられる!!!!やっぱりお金!!!!!

M&Aや新規拠点の出店で、サーバーの運用を大きく見直すことになりました。その担当者として、精力的に動いています。前は気が向かなかったのに、今ではやり遂げねばならない私のミッションと思えるようになりました。お金の力は偉大。

カメレオン型のキャリア構築をしている私にとって、お金は何よりも大事。とにかくお金で報いてくれたら、求められている役割をこなせます。

今後の話ですが、ずっと今の会社にとどまるか?と問われたらそれは分かりません。今回40代でも求人があることが判明したので、より良い環境があればそちらに移ることも考えています。しかし今は現職でさらに実績を積んで、頼られる存在になりたいと考えています。

最後に。就職エージェントはデータ戦。

最後に就職エージェントについて。10年前に別の会社を利用したことがあったのですが、今回利用した会社は進化していると感じました。ただ紹介するだけではなく、データで教えてくれます。

登録した転職エージェント。
doda(デューダ)
「2件の内定を得るまでには平均してXX件の面接を受ける必要がある」「○○の職種だと女性の方が受かりやすく、××だと男性の方が受かりやすい」など、これまでの実績をデータ化して説明してくれるところが良かったです。すごい数の紹介がありました。結果的には転職に至らなかったのですが、転職を考えるならまた利用したいと思います。

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